目次
冬に気をつけたい理由
寒い季節は、飲水量や排尿習慣、生活環境に変化が生じることがあります。こうした変化は、一部の尿路疾患の発症や悪化に関わる可能性があります。今回は、季節を問わず注意したい膀胱炎や尿石症、尿道閉塞について解説します。

水を飲む量のほかにも、寒い季節には次のような変化がみられることがあります。

水を飲まなくなる
寒いと冷たい水を飲む回数が減り、おしっこが濃くなりやすくなります。

トイレを我慢しがち
寒い場所のトイレや散歩を避けて、排尿の間隔があいてしまうことがあります。

動く機会が減る
寒さで運動量が減り、体を動かす機会が少なくなります。

寒さがストレスになる
寒さや暖房など、環境の変化が心の負担になることもあります(特に猫)。
POINT
おしっこのトラブルは、トイレの回数・量・色の変化など、飼い主さまの日々の観察で気づけることが多い病気です。「いつもと違うかも」と感じたら、早めにご相談ください。
冬に多い尿トラブル(膀胱炎・尿石症・尿道閉塞)
かんたん用語解説
頻尿 トイレの回数が増えること
血尿 おしっこに血が混じること(赤・ピンク・茶色っぽく見えることもあります)
尿石症 おしっこの成分が固まって、砂や小石のようになる病気
尿道閉塞 おしっこの通り道が詰まって、出なくなる状態
血尿 おしっこに血が混じること(赤・ピンク・茶色っぽく見えることもあります)
尿石症 おしっこの成分が固まって、砂や小石のようになる病気
尿道閉塞 おしっこの通り道が詰まって、出なくなる状態


膀胱炎
膀胱の粘膜に炎症が起こる状態です。犬では、細菌感染による「細菌性膀胱炎」がよくみられます。トイレに行く回数が増える、少量ずつ何度も排尿する、血尿がみられる、排尿時に痛そうにするといった様子がみられます。
猫では、細菌感染を伴わない「特発性膀胱炎」がよくみられます。発症にはストレスや生活環境など複数の要因が関わるため、水分摂取だけでなく、安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
かんたんに言うと膀胱の内側が荒れて、ヒリヒリする状態です。
猫では、細菌感染を伴わない「特発性膀胱炎」がよくみられます。発症にはストレスや生活環境など複数の要因が関わるため、水分摂取だけでなく、安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
かんたんに言うと膀胱の内側が荒れて、ヒリヒリする状態です。

尿石症
尿中のミネラル成分などが固まって結石を形成する病気です。結石が膀胱や尿道を刺激すると、血尿や頻尿、排尿時の痛みなどがみられます。結石にはいくつかの種類があり、種類によって食事管理などの対応が異なるため、尿検査や画像検査で原因を確認したうえで治療方針を決めていきます。
かんたんに言うとおしっこの中に、砂や小石のようなものができてしまう状態です。
かんたんに言うとおしっこの中に、砂や小石のようなものができてしまう状態です。

尿道閉塞(緊急性が高い状態)
結石や結晶、炎症などで尿の通り道が詰まり、尿が出なくなる状態です。尿が出ない状態が続くと、急性腎不全など命に関わる状態につながるおそれがあります。尿がほとんど出ない場合は、元気があっても緊急受診が必要です。
かんたんに言うとホースが詰まって水が出ないように、おしっこが外に出られなくなっている状態です。
かんたんに言うとホースが詰まって水が出ないように、おしっこが外に出られなくなっている状態です。
犬と猫で気をつけたいポイント

猫の場合
膀胱炎・尿石症・尿道閉塞のいずれも重要ですが、猫では特に特発性膀胱炎が重要です。そのため、ストレスや環境の変化も大きな原因となります。また、特にオスは尿道が細いため詰まりやすいとされています。

犬の場合
細菌性膀胱炎や膀胱結石が中心で、メスは尿道が短く細菌が入りやすいため、細菌性膀胱炎になりやすい傾向があります。寒い日の散歩を減らして排尿の回数が減ることにも注意が必要です。オスの犬でも尿道閉塞が起こることがあります。
こんなサインは要注意
次のような様子はありませんか? 当てはまるものがあれば、尿のトラブルが隠れているかもしれません。原因の判断には検査が必要ですので、自己判断せずにご相談ください。

トイレの回数が増えた
少しずつ何度もおしっこをする場合は、膀胱や尿道が刺激されているかもしれません

おしっこが赤い・ピンクっぽい
血が混じっている可能性があります(膀胱炎や結石など)

トイレ以外の場所でおしっこをする
排尿のときの痛みや不快感が関係していることがあります

陰部をしきりに舐める
排尿に伴う違和感や炎症のサインのことがあります

鳴きながらおしっこをする
排尿時に痛みを感じている可能性があります

おしっこの姿勢をとるのに、ほとんど出ない
尿道閉塞の可能性があり、元気があっても緊急です。すぐに受診してください
おしっこの色もチェックしてみましょう

ご自宅でできる予防と対策
尿のトラブルを必ず防げるわけではありませんが、日々の工夫でリスクを抑えられることがあります。

自然に水分摂取量を増やす工夫
新鮮な水を家のあちこちに置き、ぬるま湯にしたり器を変えたりして飲みやすくしましょう。

水分の多い食事
ウェットフードなど、水分を含む食事を取り入れることを検討しましょう。

トイレ環境を整える
猫ではトイレの数だけでなく、設置場所や大きさ、猫砂の種類、清潔さも重要です。多頭飼育の場合には、それぞれが安心して利用できるよう、トイレを複数の場所に配置しましょう。

排尿の機会をつくる
犬は寒い日でも排尿の機会を確保し、長時間我慢させないようにしましょう。

毎日の観察
排尿の回数・量・色を日頃から観察し、変化があれば記録しておくと診察の助けになります。

療法食は獣医師と相談
療法食を自己判断で始めたり中止したりせず、獣医師と相談して決めましょう。
POINT
定期的な健康診断や尿検査を受けることで、症状が出る前に変化に気づけることもあります。冬を迎える前に一度チェックしておくのもおすすめです。
受診の目安|こんなときはご相談を
すぐ受診
尿がほとんど出ない場合は、元気があっても緊急受診が必要です
早めに相談
血尿がみられる/トイレの回数が増えた/排尿時に痛そうにしている
まずは相談
水を飲む量やトイレの様子が気になる/過去に尿トラブルを起こしたことがあり、冬の過ごし方を相談したい
尿のトラブルは、早めに対応することで悪化を防げることが多くあります。迷われる場合も、まずは総合診療科までお気軽にご相談ください。
尿トラブル以外に冬に起こりやすいトラブル
冬は、尿のトラブル以外にも次のような変化が出やすい季節です。

関節・筋肉のこわばり
寒さで動きが悪くなり、関節の病気がある子は症状が目立つことがあります。
おうちでの工夫:滑りにくいマットを敷いて、足腰への負担を減らしましょう。
おうちでの工夫:滑りにくいマットを敷いて、足腰への負担を減らしましょう。

低温やけど
ホットカーペットやヒーターなどに長時間触れ続けることで起こります。
おうちでの工夫:同じ場所に長くいさせず、暖かい場所以外にも逃げ場をつくりましょう。
おうちでの工夫:同じ場所に長くいさせず、暖かい場所以外にも逃げ場をつくりましょう。

呼吸器・心臓への負担
寒暖差で咳が出やすくなったり、心臓や気管に持病のある子は症状が悪化したりすることがあります。
おうちでの工夫:急な温度差を避け、咳や息づかいの変化に気をつけましょう。
おうちでの工夫:急な温度差を避け、咳や息づかいの変化に気をつけましょう。

皮膚の乾燥・かゆみ
空気の乾燥や暖房により、皮膚のかゆみやフケが増えることがあります。
おうちでの工夫:部屋を加湿し、ブラッシングで被毛を整えましょう。
おうちでの工夫:部屋を加湿し、ブラッシングで被毛を整えましょう。

運動不足・体重増加
散歩や運動の機会が減ることで、体重が増えやすくなります。
おうちでの工夫:室内でも遊びの時間をつくり、食事量を見直しましょう。
おうちでの工夫:室内でも遊びの時間をつくり、食事量を見直しましょう。
総合診療科のお問い合わせ
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。掲載の機器説明・症例写真は効果や結果を保証するものではなく、手術の適応は検査により判断します。気になる症状がある場合は動物病院を受診してください。


