本間獣医科医院は、2024年よりDCC動物病院として生まれ変わりました。

犬の去勢・避妊手術とは?
期待できるメリットと当院の対応について

犬の繁殖を防ぐための不妊手術には、一般にオスに行う「去勢手術」と、メスに行う「避妊手術」があります。不妊手術は、望まない繁殖を防ぐための手術というイメージが強いかもしれませんが、実はメリットとリスクの両方を正しく理解したうえで判断することが大切な手術です。当院の総合診療科で日々診察にあたる獣医師が、効果とあわせて注意すべき点まで詳しく解説します。

監修:林 幸太郎(DCC動物病院 総合診療科)公開日:2026.08.06
目次
  1. 犬の不妊手術とは
  2. 手術によって期待できる効果
  3. 手術に伴うリスクと注意しておきたいこと
  4. 手術に適した時期の考え方
  5. 手術方法の違い(去勢・避妊・腹腔鏡下避妊)
  6. 手術当日の流れとご自宅でのケア
  7. 不妊手術の受診の目安|こんなときはご相談を
  8. 総合診療科のお問い合わせ

犬の不妊手術とは

去勢手術はオスの精巣を、避妊手術はメスの卵巣のみ、または卵巣と子宮を摘出する外科処置で、いずれも全身麻酔をかけて行います。「繁殖を望まないから受けるもの」と考えられがちですが、実際には生殖器そのものを取り除くことで、その先のホルモンに関連した病気にかかる可能性まで含めて変化させる、体への影響が大きい手術です。だからこそ、メリットだけでなく負担やリスクも合わせて理解したうえで、受けるかどうか・いつ受けるかを判断していただきたい手術でもあります。

当院の総合診療科では、次のようなお悩みやご希望をお持ちの飼い主さまからのご相談を多くお受けしています。

  • 今のところ繁殖の予定がなく、将来の病気のリスクに備えておきたい
  • 性ホルモンに関連する行動(マーキング、マウンティング、脱走など)に困っている
  • 手術を受けるかどうか自体をまだ迷っており、判断材料がほしい

手術によって期待できる効果

不妊手術によるいちばん大きな変化は、性腺由来の性ホルモン分泌が大幅に減少することです。

オスの去勢手術で期待できること

精巣そのものを摘出するため、精巣にできる腫瘍の心配がなくなります。また、男性ホルモンの影響を受けて起こりやすい良性前立腺過形成(前立腺肥大)、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などについても、発症の可能性を抑えられるとされています。マーキング、マウンティング、メスを求めての脱走など、性ホルモンに関連した行動が減少することがあります。ただし、攻撃性や不安行動にはさまざまな原因があるため、手術だけで改善するとは限りません。

メスの避妊手術で期待できること

メスでは、早い時期に避妊手術を行うことで、将来の乳腺腫瘍のリスクを下げる可能性があると考えられています。そのほか、卵巣を摘出することで卵巣疾患を防ぎ、命に関わることもある子宮蓄膿症を予防できます。卵巣と子宮を摘出する術式では、子宮に生じる疾患も予防できます。

※効果の現れ方には個体差があり、上記の病気を100%防げることを保証するものではありません。あくまで発症の可能性を下げる手術であるとご理解ください。

手術に伴うリスクと注意しておきたいこと

不妊手術は日常的に行われている手術ですが、全身麻酔を伴う外科処置である以上、リスクがゼロになることはありません。手術を検討される際は、次のような点もあわせてご確認ください。

麻酔に関わるリスク

年齢や犬種、心臓・肝臓・腎臓などの持病の有無によって、麻酔が体に与える負担は変わります。当院では、事前の血液検査や身体検査によって全身状態を確認したうえで、そのコの状態に合わせた麻酔計画を立て、手術中もモニターで呼吸・循環動態を継続的に確認しながら進めます。それでも、ごくまれに予期せぬ体調変化が起こる可能性はゼロではありません。

手術後に起こりうる合併症

傷口の腫れや赤み、出血、まれに縫合部が開いてしまう、感染を起こすといった合併症が起こることがあります。多くは適切な術後管理によって防げるものですが、少しでも様子がおかしいと感じた場合は早めにご連絡ください。

体質・体格の変化について

不妊手術後は、ホルモンバランスの変化により基礎代謝が落ち、太りやすい体質になる傾向があります。手術前と同じ量の食事を続けていると、肥満につながりやすいため、術後は食事量やフードの種類、運動量の見直しが必要になる場合があります。
また、メスでは手術後しばらく経ってから、寝ている間などに尿が漏れてしまう「避妊後尿失禁」がみられることがあります。すべての犬に起こるものではありませんが、体格や犬種、手術時期によってリスクが異なるため、特に大型犬では時期を個別に検討します。さらに、一部の犬種では若齢での手術と関節疾患や一部の腫瘍との関連が報告されていますが、犬種差が大きく、すべての犬に当てはまるものではありません。

繁殖ができなくなること

当然ながら、不妊手術を行うと、その後繁殖はできなくなります。将来的に繁殖の予定がある場合は、手術前に必ず獣医師にご相談ください。
POINT
メリットとリスクのどちらか一方だけで判断せず、そのコの年齢・犬種・持病の有無・生活環境を踏まえたうえで、手術を受けるかどうか、受けるとしていつ行うかを一緒に考えていくことが大切です。迷われている段階でも、まずは総合診療科にご相談ください。

手術に適した時期の考え方

手術に適した時期は、性別、犬種、予想される成犬時の体格、発育状態、生活環境、持病の有無などによって異なります。小型犬では生後6か月前後が一つの目安となることがありますが、大型犬・超大型犬では骨格の成長を考慮し、手術時期を遅らせる場合もあります。すべての犬に共通する時期があるわけではないため、個別に獣医師と相談して決めることが大切です。

手術方法の違い(去勢・避妊・腹腔鏡下避妊)

手術の方法は、性別や選択する術式によって異なります。それぞれの特徴を簡単にご紹介します。タブをクリックすると、各方法の説明に切り替わります。

去勢手術(オス)

陰嚢の付け根あたりを数センチ切開し、精巣を摘出します。手術時間は体格にもよりますが30分前後が目安です。痛み止めを併用しながら、できるだけ体への負担を抑えた麻酔管理を心がけています。

手術当日の流れとご自宅でのケア

手術当日は、まず術前検査で全身状態に問題がないかを確認したうえで、全身麻酔下で手術を行います。術後は院内で麻酔からの覚醒状態や痛みの有無を観察し、体調に問題がなければ当日または翌日以降のご帰宅となります。

術後術後
開腹避妊手術後の切開創の一例です。傷口を清潔に保護しながら経過を確認します。
※経過には個体差があり、すべての症例で同様の結果が得られることを示すものではありません。
術後大切なこと術後大切なこと
エリザベスカラーなどで傷口を保護しながら、静かに休める環境を整えてあげましょう。

ご帰宅後に気をつけていただきたいこと

  • 傷口を舐めたり噛んだりしないよう、エリザベスカラーやプロテクターを装着したまま生活する
  • 激しい運動やジャンプ、シャンプーは抜糸が済むまで控える
  • 傷口の赤み・腫れ・浸出液・出血がないか、毎日確認する
  • 食欲や元気、排泄の様子にいつもと違うところがないか見守る

抜糸が必要な場合は、手術後7〜14日程度を目安に来院いただきます。傷口の様子や食欲・元気に気になる変化があれば、抜糸のタイミングを待たずにご連絡ください。

不妊手術の受診の目安|こんなときはご相談を

早めに相談
発情に伴う変化(出血)・行動(マーキングなど)に困っている/繁殖の予定がなく早めに手術を検討したい
時期を相談
生後6か月前後になり、犬種や体格に合った手術時期を相談したい/持病がありタイミングに不安がある
まずは相談
手術を迷っている/メリット・デメリットや方法の違いを詳しく聞いてから決めたい

不妊手術は、時期や方法によって体への負担や効果が変わります。迷われる場合も、まずは総合診療科までお気軽にご相談ください。

総合診療科のお問い合わせ

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東京都昭島市つつじが丘2丁目8−55

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愛犬の不妊手術、DCC動物病院にご相談ください

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の診断・治療に代わるものではありません。掲載の機器説明・症例写真は効果や結果を保証するものではなく、手術の適応は検査により判断します。気になる症状がある場合は動物病院を受診してください。

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